標本屋さんは博愛主義だ。全てを平等に愛している。元素が好きだというのはそういうことでもある。元素が好きだということは、この世界を愛すことでもある。

一方で九嶋は偏愛主義だ。元素を偏愛するということは、「この世界を、元素を通してしかみない」ということでもある。元素を偏愛するというのはかなり強烈な価値観である。元素が好きというのは自然と博愛主義と成るものを、偏愛として世界への認知さえ変えている。